プロレス関係者の出版本は、ほぼ発売と同時に読破しておりますが、今回は、サッカーの日本代表監督オシムさんの「オシムの言葉-フィールドの向こうに人生が見える」を選んでみました。
イビツァ・オシムは、旧ユーゴ代表選手・監督であり、元ジェフユナイテッド市原の監督である。
まず、本をめくっていると飛び込んできたのは、
「君たちはプロだ。休むのは引退してから十分だ」
の言葉。ある意味、当然の事に思える内容ではあるが、プロである故のおごりとか余裕で、本当のプロフェッショナルの自覚とともに行動が伴っているのかという自問自答をさせる一言である。
次に出てきたのは、
「ライオンに追いつかれたウサギが逃げ出すときに、肉離れをしますか?準備が足らないのです」
これを聞いたチームメイトが、誰のことを指しているのかを判断できたそうだ。当然ながら、その本人も自分のことをいわれた事がわかったそうだ。大切なのは、つねにその言及の真理を問うことではないでしょうか?普遍的な言動に隠れた深遠な真理を見抜く力について語った一文と感じました。
「アイディアのない人間もサッカーはできるが、サッカー選手にはなれない」
実社会においては、当てはまる事例がたくさんあるのではないでしょうか?さらにオシムは、「アイディアを身に着けているかどうかは、サッカーを見なくても普段からの言動を見ればある程度予想ができる」とも語っています。プロって何?ってことですね。
「重要なのは、ミスをして叱っても使い続けることだ」
埋もれていた選手について言及した内容であるが、ミスした選手をそれだけで使わなくなったら、その選手はミスを恐れてリスクを冒さなくなる。よっていつまでも自己の殻を破ることができないのである。重要なのは、叱った後も使い続けることで、リスクをとって冒険することだと言ってる。ノアの三沢光晴さんの著書にも書いてあったな。「がんばります」より「がんばりました」って聞きたいと・・・。管理者も大変なんだよ。ね。
「作り上げることは難しい。でも、作り上げることのほうがいい人生だと思いませんか?」
共感である。実際、創業に関する助言活動などを通じて「作り上げる」ことに従事している者として、より皆様のニーズを感じて行動していかねばならぬと再確認したところです。
「私の仕事はスイカを売ることではなくて、生きている人間と接しているわけだから」
現代サッカーは、4-4-2とか3-5-2といったシステムを中心に考えられている風潮があると思う。でも、システムだけを語っただけでどんな意味があるのだろう。それを構成するのは個々の人間なので、個性が存在する。個性を理解して、その個性を生かすシステムでなければならないのだ。システムは、人間の上に君臨するなどは許されることではない。
当事務所においても、ISO9001という品質マネジメントシステムを昨年から導入している。作成過程についても、現場で動いているものについては明文化しただけであり、国際的な品質保持という観点から、ISOに規定される部分で、不足部分を補った形でシステムを作り上げた経緯がある。
今後の課題として、ISO9001というシステムをさらに理解したうえで、個性を生かした温かみのあるものにしていかなければならないなー。
「毎日、選手から学んでいる」
うーん。感動。この一言にオシムすべてが凝縮していますね。サッカー本でありながら、組織論を展開している内容でした。管理者がこのように感じられる環境が大切なのでしょうね。
甲賀 伸彦
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