経済産業省の「信用保証協会が行う中小企業の会計処理による割引制度の見直し」について

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 中小企業向けの会計ルールとして、従来から公表されている「中小企業の会計に関する指針」(以下「指針」)と新たに公表された「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「要領」)があります。

 要約すると、「指針」については中小企業の経理体制に対する一定の配慮はなされているものの、大部分の中小企業にとっては要求事項が高すぎ、完全な適用は困難な状況にあったため、新たに「指針」より簡便な会計処理をすることが適当と考えられる中小向けの会計ルールを求める動きが起こり「要領」が策定されたという背景があります。

 今回はこれらの会計ルールに準拠した経理処理を実践している企業の方々に対する特典とその動向について解説します。

 中小企業会計割引制度とは、「指針」に準拠して作成される中小企業の計算書類について、税理士、税理士法人および公認会計士(以下「税理士等」という。)により「指針」の準拠を確認するチェックリストが提出された場合において、信用保証協会の保証料率0.1%の割引が認められる制度です。この制度は、中小企業の会計の質の向上を通じた中小企業金融の円滑化を目的とし、税理士等が中小企業の計算書類が「指針」に準拠していることを確認することによって、信用保証協会の審査コストが低減することが期待できることから実施されたものです。現行の会計割引制度の適用は、平成18年4月の制度創設時では、チェックリストの添付によって認められ、平成19年4月の制度見直し後では、チェックリスト中の15項目のうち1項目以上の準拠によって認められることとされています。

 平成24年3月22日、経済産業省ホームページで「信用保証協会が行う中小企業の会計処理による割引制度の見直し」が公表されました。制度開始から6年を迎え、中小企業の会計の質の向上を促す効果を高め、制度の適正化を図るため、平成24年4月1日より、以下の見直し行う、とのことです。(平成24年4月1日以降に終了する事業年度の計算書類より適用)

1.チェックリストの全部準拠
(1) 信用保証協会は、チェックリストの全15項目全てが中小指針に準拠していることをもって会計割引制度を適用。ただし、当該中小企業が保有しない資産の項目については除外。
(2) チェックリストの全15項目について中小指針に準拠している旨の記載があるにもかかわらず、故意・過失を問わず事実と異なる記載が認められると信用保証協会が判断する場合は、会計割引制度の利用を認めない。

2.事実と異なる記載に対する一時利用停止措置
 故意・過失を問わず事実と異なる記載と保証協会が認めるチェックリストが、複数回にわたり同一の税理士等から提出された場合において、当該税理士等から提出されるチェックリストの添付をもって、計算書類の信頼性向上に寄与することが認められないと保証協会が判断するときは、当該税理士等が確認したチェックリストについては、会計割引制度の利用を1年間認めない。
 
 このように、我々税理士事務所から提出される書類であるため、計算書類の品質確保においては、月次の巡回監査業務を通じて十分に精査して行わなければならないと感じております。

 また、平成24年2月に策定された「要領」の取扱いについては、「指針」に従った計算書類を作成した中小企業に対する会計割引制度の経験を踏まえつつ、「要領」の創設段階における普及・促進への協力として、会計割引制度の見直しについて検討を行う、と公表されておりますので、こちらにも期待しております。

おしまい 甲賀

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