エピソード104

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 信頼される第一歩は

中略

 お得意先からの何らかの用件を、社内の人に伝えて欲しいと頼まれたような場合も同様です。その用件をまちがいなく担当者に伝えれば、一応役目は果たしたことになるわけですが、その場合でも「社内の誰それに確かに伝えておきました」ということを、そのお得意先に連絡する。そうすると先方は、返事はもらわなくてもいいと思っていた場合でも非常に安心し、喜ばれます。

 私は、そうしたちょっとしたことが、周囲の人に安心感を与え、そこからその人に対する信頼が少しずつ集まり、高まるのではないかと思います。
「あの人は、仕事がよくできて、信頼のできる人だ」というような評価は、頭がいいとか腕がいいとかということにもよりましょうが、それ以上に、そのような身辺の小さいことから築かれる信用によって左右されるものだと思うのです。

 むずかしいことはできても、平凡なことが行き届かないというのは、決して好ましいことではありません。むしろ大切なのは平凡なことの方で、それを着実に積み重ねてしっかりした土台をつくり、その上にその人の経験なり知恵才覚を生かしていくのが、望ましい仕事の進め方というものでしょう。

 それは単に若い社員にとってばかりではありません。私の経験上、一つの部なら部の責任者の場合でも、「あの人は信頼できるな」という人は、必ずきちんとした報告をしてきます。いい結果の場合も、悪い結果の場合も報告してくれます。もちろん一つの部の運営を任されていて、しかもそれがうまくいっていれば、とくに報告しなくてもいいようなものですが、そこはやはり打てば響くというか、肝胆相照らす仲というか、こちらの気持ちを察して良きにつけ悪しきにつけ報告してくれるでしょう。その辺が非常に大事なところだと思います。

 そのような意味で、平凡なこと、ささいなことをおろそかにしないというところに、信頼あつく、その会社になくてはならない人になるための第一歩があるという気がするのです。

 松下 幸之助著より

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