トヨタ式人間力(ダイヤモンド社)-その2-

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6.問題を表面化し解決する
・現場で5回おかしいな、おかしいなを繰り返す。そうすると本当の原因がつかめる。原因をつかんで、同じトラブルが起きないようにすることを徹底していけば、その企業は非常によくなる。
・トヨタ生産方式が「不良はみんなの見えるところに出しなさい」というのは、不良を一つひとつ解決するから、着実な進歩が生まれると信じているからだ。不良を検査によって発見するのではなく、「品質は工程で作りこむ」を基本とする以上は、工程のなかにひそむ問題点は、徹底的に潰していく姿勢が不可欠だ。
・社会や会社の問題点を指摘する人は多い。しかし、自ら代案を考えて自らの手で実行しようとする人はあまり少ない。何事にもそうだが、具体的な対策もなしに、問題点だけを指摘しても人は決してあなたを信用してはくれない。
・目標が達成できたかできなかったかにかかわらず「チェックとは反省である」。目標が達成できなかったときの反省は誰でもするが、達成したときの反省はほとんどしない。肝心なのは達成したときに、「なぜ達成できたか」を突っ込んで調べて活用することが大切である。

7.今日より明日は間違いなくよくなる
・今の自分に何が求められているのかを常に意識する。新たな成功にとって必要なのは、何も特別な才能ではなく、新しい仕事や新しい環境が求めているのは何かを考え、その課題に果敢に挑戦する意欲である。
・何かをやろうとするときは、業界の常識や平均値といったものを一度は疑ってかかるほうがよい。不可能と思えるような数字でもその目標に重要な意味があれば果敢に挑戦してみる。もちろんすぐに100%達成は難しいかもしれないが、挑戦は大きな進歩を生む。何よりも成し遂げるだけの無限の能力が自分にあると信じる気構えが重要である。
・絶えざる自己革新ができるかどうか、それが成長の鍵を握る。「どこかに無駄があるのではないか、どこかに改善の余地があるのではないか」と日々自分に問いかけてみる。同時に昨日と比べて、少し改善して、少し進歩したとしたら、そこをもう一度一から見直してみる。改善の下には常に新たな改善の芽がある。改善したところをもう一度改善し、そしてまた改善する。
・成果主義のように安易な目標からは決して挑戦意欲も生まれないし、新しいものも生まれない。人は高い目標に挑戦するからこそ、多くを学ぶ。なんとか辿り着こうと工夫もするし、たとえ不幸にして達成できなくてもそこから多くを学ぶ。目指すべきハードルがなければ決して挑戦する意欲は沸いてこない。

8.百見は一行にしかず。会社のなかに評論家はいらない
・自分の実力を棚に上げて「上司に見る目がない」とか「会社のビジョンがはっきりしない」とか「自社の商品に特徴がない」などとさまざまな理由をあげて、成績不振の言い訳をする。あるいは「過去に私もやったけれど、それはうまくいきっこないからやめたほうがよい」とか「業界の慣習・常識」などをたてにしたり顔で反対する。こんな言い訳や反対ばかりしていては、ものごとの当事者とはいえない。ただの社内評論家である。
・できるだけ多くの成功と失敗を体験しておく。できない言い訳をあれこれ考える暇があれば、まずどうすれば実行できるかを考える。そのほうがはるかに前向きだし、得することも多い。とかくしたり顔の「社内評論家」ばかりが出世をしていくという悲しい現実も確かにあるが、リスクをとらない社内評論家が何かを生み出した事例はない。
・知識依存の人は、確かにあらゆる経営手法や理論をよく知っている。自分の会社についても、自分の生き方についても立派な考え方を持っている。しかし、考えるだけで行動が伴わなければ結局何も生み出せない。「考えたことを実際にどこまでやるか」この意味をしっかりとかみしめる必要がある。
・どんなに情報が発達して、知識が簡単に手に入ろうとも、大切なのは自ら現場に出かけ、自ら現場を見る姿勢である。現場から離れてしまっては、現場から遊離した結論しか生まれない。これでは知識を上手にしゃべる「技術者」にすぎない。行動の伴った真の「技術者」とはいい難い。国際競争の中で勝ち残っていこうとするならば、「断行力の持った勇気のある実行型の技術者」でなくてはならない。

9.あなたは働いていますか。動いていますか
・現在でも「縦割り」「縄張り」意識の強い仕事のやり方が目につく。それでは顧客に支持されるものは生まれてこない。これからの時代には、自分の仕事には100%の責任を持つとともにいつも次の工程の作業を考えて仕事をするという「前工程は神様、後工程はお客様」であるという意識が必要である。
・過去の経験や実績は貴重である。しかし、過去の栄光や経験だけで生きていくのは難しい時代になってきている。常に「もっといいやり方はないか」と問いかける分析力が必要である。
・倉庫にモノが雑然と積んであると、探すだけでも大変である。欲しいモノはなく、あるのはいらないものばかりというのもよくある話である。たまに倉庫でモノを探す達人がいるが、これなども「調整は悪」と同様に「探す無駄」を無駄と認識していないことはなはだしい。
・「価値」と「価格」を混同してはならない。モノがその価格で売れるのは、顧客にとって価値があるからである。原価が上がれば価格を上げてもいいと安易に考えてはいけない。価格が上がり価値が一定ならば顧客はやがてそのモノを買わなくなる。

10.日々改善・日々実践。勝ち続ける企業が行っていること
・改善は「思いつき改善」ではダメである。「これをやらなければ会社がたちゆかなくなる」というほどの必死さで取組んで初めてやりぬく体制ができる。問題意識は「今日のやり方が一番悪い。もっといいやり方はないのか」という疑問から発する。
・まずは今日の仕事について「本当にこのやり方でよいのか」と、一日に一時間だけでも考える習慣を身につけよう。それを続ければ問題意識と行動する力が身についてくる。
・改善を続けていくには、「高い志」を掲げることが大切である。ただし、そこに一足飛びにいこうと思ってはいけない。「日々改善・日々実施」の積重ねにより、一歩一歩着実に歩んでいく。そして「日々改善・日々実施」ができるのは人間だけだ。人の知恵・人の力を最大限に信じ、活用していくものだけが、これからの時代を切拓いていく。

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