『会計で会社を強くする』を読んで・・・

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『会計で会社を強くする』(坂本孝司著)を読んでの感想 - 阿部華人

 会計は何のために行うのか著者が巻頭で結論を二つ述べています。「会計は倒産を防止し逞しく勝ち残るためにある。」「記帳は自社を守るための証拠作りである。」その意味がこの本を読んで理解できました。会計は何のために行うのか?少し考えてみましたが、「利害関係者に対して財政状態と経営成績を明らかにすること」のような教科書的なことしか思い浮かびませんでした。実際のところ上場している大会社であれば会社四季報などに決算報告が掲載されていますが、過去より私のお客様で決算報告を行ったというお話をうかがった企業さんは記憶にありません。
 
 会計とは何なのか?歴史から会計の重要性を知ることができました。フランスでは死刑を担保に記帳と決算書の作成を義務付けたということです。やりすぎだと思いますが、経営者自らに現在の財政状態と経営成績を報告することが不況を克服すると考えたのでしょう。

 興味深く感じたのは、アメリカにおける金融機関の会計事務所の信頼が非常に強いということです。記述してあるとおり、何十年も前から会計事務所と金融機関の協力関係を構築してきたことにより、権威のある会計事務所のサインはその関与先企業の税務申告書や決算書を信頼して審査融資してくれるようです。権威のある会計事務所というのは、うそ偽りのない会計監査と決算書を作成し続けてきたことが大前提で、金融機関との良好な関係を構築し続けてきたからだと感じます。なぜ所長が金融機関との良好な関係の構築を重要視するのかこの場面からも理解することができました。

 「お客様が簿記会計を自ら実践できるように、経営者自らが会計を理解することができるように、徹底して支援申し上げること」に会計事務所の本来的な使命があると著者は述べていますが、同感しました。結局のところ、私がいくら一生懸命に記帳代行をして関与先企業さんの状態がわかったとして、いくら心配したとしても、関与先企業が会計の重要性を理解しないかぎり平行線状態を維持しているだけだと感じました。関与先が会計帳簿を自ら作成することによりリアルタイムで会計情報を引出し、自ら経営判断を下せるように少しでも支援すること、あるいはお客様に対して教育という言葉が適切かわかりませんが、会計の重要性を日々の監査の中で教育し続けることが重要かもしれないと感じました。

 ともあれ当面はお客様よりたくさんのことを教わることになりますが、現場が楽しみです。

 読むのに1時間半かかりました。

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