チェンジ・リーダーの条件その3(P・F・ドラッカー)

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4.マネジメントの基礎知識

○今後、人のマネジメントにおいては、知識労働者の生産性が中心的な問題となる。これは人と仕事についての前提を大幅に変えなければならないことを意味する。行うべきことは、人をマネジメントすることではなく、リードすることである。その目的は、一人ひとりの人間の強みと知識を活かし、生産的なものにすることである。

○今後のマネジメントは、技術とその用途を基盤とすることができない。それらは制約条件にすぎない。マネジメントが基盤とすべきは、顧客にとっての価値である。

○今日必要とされているものは、マネジメントの範囲の見直しである。理論と実務の双方において今後前提とすべきものは、マネジメントの範囲は法的にではなく実体的に規定されるということである。

○かつて多国籍企業にとって、経済の現実と政治の現実は一致していた。しかし、マネジメントの対象と国境は一致しなくなった。マネジメントの対象を政治的に規定することはできない。国境は制約条件にすぎず、現実のマネジメントは政治ではなく、経済の実態が規定する。

○理論および実務としてのマネジメントが基盤とすべき前提は、マネジメントとは組織の外部において成果をあげるためのものであり、まずそれらの成果を明らかにし、次にそれを実現するための組織でなければならない。

○企業は、「富を創出」するためにマネジメントしている。ここにおいて事業上の意思決定のための四種類の情報、すなわち基礎情報、生産性情報、卓越性情報、資金情報と人材情報が必要となる。

○事業の失敗を招くに至る致命的な誤りは、税制、社会規制、市場選好、知的財産権などの企業環境が、自分たちの考えるようなものであるに違いないと安易に決め込んでしまうことにある。そのため、そのようなことに常に疑問を投げかけてくれる情報を得るシステムが必要である。

○自己管理によるマネジメントを実現するには、自らの仕事振りとその成果を、目標に照らして評価測定することが必要である。したがって、明確な共通の強化基準を与えることが必要である。

○自己管理によるマネジメントを実現するには、報告、手続き、書式を根本的に見直すことが必要である。 報告と手続きの誤った使い方は三つある。①手続きを規範と見なす。②手続きを判断の代わりにする。③報告と手続きを上からの管理の道具として使う。

○人事には共通する四つの原則がある。
①ある仕事に就けたものが成果をあげられなければ、人事を行った自分の間違いである。
②少なくとも責任感のある者が成果をあげられるようにすることは、マネジメントの責任である。
③人事は組織そのもの能力を左右する。したがって、正しく行われなければならない。
④外部からスカウトしてきた者に、初めから大きな仕事を与えてはならない。

○同族企業はマネジメントにおいて次の原則が必要である。
①一族外の者と比べて、同等の能力を持ち、少なくとも同等以上に働く者でない限り、同族企業で働かせてはならない。
②一族の者が何人いようと、また彼らがいかに有能であろうとも、トップマネジメントのポストの一つに、必ず一族に属さない者をあてなければならない。
③同族企業といえども、専門的な地位には一族以外の者を必要とする。
④一族の人間が後継者について考えを持つようになる前に、適切な仲裁人を外部に見つけなければならない。

続く

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