チェンジ・リーダーの条件その1(P・F・ドラッカー)

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1.マネジメントとは何か
○マネジメントとは、一般教養である。教育者が、教育ある者が、教育ある者としての役割を果たすには、マネジメントを理解し実践しなければならない。それは、明日の社会は知識社会であり、したがって、異なる知識を持つ者が組織との関わりのもとに、共通の使命を持って働く組織社会だからである。

2.マネジメントの課題
○マネジメントには、自らの組織が社会に貢献する上で果たすべき役割が三つある。第一は、目的を果たすことである。第二は、組織に関わりのある人たちが生産的な仕事を通じて生き生きと働けるようにすることである。第三は、自らの組織が社会に及ぼす影響を処理するとともに、社会の問題に貢献することである。

○「われわれの事業は何か」を問うことこそ、トップマネジメントの第一責任であるが、その問いは、企業の外部、すなわち顧客と市場の視点から見て初めて答えることができる。また、マネジメントたるものは、「われわれの事業は何か」を問うとき、「われわれの事業は何になるか。事業の目的や性格に影響を与える恐れのある環境の変化は認められるか」「それらの予測を、われわれの定義すなわち事業の目的、戦略、仕事にいかに組込むか」を問わなければならない。

○事業の定義があって初めて、企業は目標を設定し、戦略を開発し、資源を集中し、活動を行うことができる。事業の定義があって、初めて業績をあげるべくマネジメントできるようになる。
 ここで言う目標は、マーケティングの目標、イノベーションの目標、人的資源の目標、資金の目標、物的資源の目標、生産性の目標、社会的責任の目標、必要条件としての利益の目標である。(八つの目標)

○事業の定義は三つの要素からなる。第一は、組織をとりまく環境、第二は、組織の使命、第三は、使命を達成するために必要な強みの前提である。第一の環境についての前提は、組織が何によって対価を得るかを明らかにする。第二の使命についての前提は、組織が何を意義ある成果とするかを明らかにする。経済や社会に対し、いかに貢献するつもりかを明らかにする。第三の自らの強みの前提は、リーダーシップを維持していくためには、いかなる分野で抜きん出なければならないか明らかにする。

○事業の定義が有効であるための四つの条件は、
①環境、使命、強みについての前提が、それぞれ現実に合致しなければならない。
②環境、使命、強みについての前提は、それぞれがたがいに合致していなければならない。
③事業の定義は、組織全体に周知徹底しなければならない。
④事業の定義は、たえず検証していかねばならない。

○事業の定義は、組織が目標を達成したときに陳腐化する。目標が達成されるときは、定義を考え直すときである。そして、事業の定義見直しに必要なのは、天才ではなく、勤勉さであり、賢さではなく、問題意識である。そもそもCEOとはそういう存在である。

○企業がNPOから学ぶべき第一は使命を持つことである。使命を持つことにより、はじめて行動に焦点を合わせることができる。また、目標の達成に必要な戦略も明らかにすることができ、規律をもたらすことができる。

○企業がNPOから学ぶべき第二は取締役会の在り方である。マネジメントの能力を回復するには、取締役会を活性化する必要があり、その責任はCEOにある。そのための措置として、多くの企業で監査委員会が体裁でない本当の責任を負うようになっている。また、幾つかの企業で取締役会がCEOの後継や経営陣の選任に関して小委員会を設け、定期的に経営幹部と面接し、仕事振りなどについて話しを聞いている。しかし、取締役会自身とその仕事振りを評価している企業はまだ1社もない。また、NPOでは日常的になっている理事の訓練に相当するもの、取締役の訓練を行っている企業も知らない。

その2へ続く

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